バイオプラスチックについて
01About ”Bioplastics”
バイオプラスチックとは?
はじめに
現在、温室効果ガスの排出抑制やカーボンニュートラル社会の実現、SDGsにおける海洋プラスチックごみ問題への解決策として「バイオプラスチック」の導入が進められています。 私たちは、石油由来のプラスチックにより大きな利便性と恩恵を受けてきましたが、地球温暖化と資源枯渇の問題にも直面しています。当社もバイオプラスチックの取り扱い・加工を始めることにより、社会貢献できるよう取り組みを進めております。ここでは、バイオプラスチックについてご紹介をさせていただきます。
Bioplastics Classification Chart
バイオプラスチックの分類
バイオプラスチックとは、植物などの再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチックと、微生物等の働きで最終的に二酸化炭素と水にまで分解する生分解性プラスチック、その両方の特徴を兼ね備えた生分解性バイオマスプラスチックの総称です。
こちらは代表的な分類ですが、原料、製法、化学構造や機能は様々であり、各樹脂メーカーの研究開発も進んでいます。各製品の特徴や機能などから選定いただき、適切な用途で使用することが重要となります。
1. バイオマスプラスチック(非分解性)
主にサトウキビ、トウモロコシなどの糖、油脂から製造される植物由来のプラスチック及び、植物原料を石油由来の樹脂に混ぜ込んだプラスチック。国内で製造されるバイオマスプラスチック原料には輸入原料が使われることも。石油由来のプラスチックに比べ、原料調達や製造条件などの理由から高価になることが多い。温室効果ガスの排出削減に寄与できることが一番の利点で、原料は食料やバイオエタノールの需要と競合する。バイオPE、バイオPET、バイオPTT、バイオエンプラDURABIOなど
2. 生分解性プラスチック
プラスチックの機能・性能を持ちながら、自然界に存在する微生物の働きで分解、最終的には二酸化炭素と水に変わる。国内で普及している生分解性プラスチックの約7割は植物由来で、その他はナフサが主原料。バイオマスプラスチック(非分解性)と同じく、従来の石油由来のプラスチックに比べると高価となる。バイオマスプラスチック(非分解性)と比べ、樹脂の特性が異なることから、現在は用途が限定されることが多い。長期保管は劣化の恐れもあるため、土壌や海など分解環境に応じた樹脂の選択が必要。PBAT、PBSなど
3. 生分解性バイオマスプラスチック
植物由来の原料を使用したバイオマスプラスチックでありながら、環境に優しく自然分解が可能。植物由来のバイオマスを原料としているため、再生可能エネルギー源となりCO2の排出量を削減できる。 ただし、熱や湿気に弱いため保管や使用には注意が必要。PHA、PLA、PHBHなど
背景
国内では2020年7月に「プラスチック購買物袋有料化」が開始、レジ袋の有料提供が義務化されました(一部バイオマスプラスチック性袋は有料化対象外)。 これまでバイオプラスチックについて、ライフサイクル全体で温室効果ガスの削減がされているか? 地球温暖化対策として本当に効果があるのか?という潜在的な疑問がありました。 しかし、2021年末に欧州にて石油由来のプラスチックとバイオプラスチックの環境負荷の比較が行われ、バイオプラスチック原料作物の栽培や、肥料生産時の温室効果ガス排出を考慮しても石油由来のプラスチックの環境負荷の方が大きいことが共通認識として知られるようになりました。 現在、バイオプラスチックの国内出荷量は年々増加傾向にあり、国の方針では2030年までに最大200万トン(2019年度比:4.2倍)の導入を目指しています。
当社にできること
エネルギーや運輸において、燃料を燃やして排出される炭素のほとんどは二酸化炭素であり、排出量の削減のため、代替エネルギーへの置き換えは可能です。しかし、多くの化学品において製品そのものに炭素原子が含まれているため、究極的な脱炭素は物理的に不可能です。 当社は長年シリコーン専門商社として、石油由来の樹脂ではなく、地球に無尽蔵にある「ケイ素」を主原料とした「シリコーン製品」を多く扱ってきました。近年はバイオマスプラスチックのコーディネーターとしてお客様やサステナブルな社会の実現に貢献したいと考えています。
Domestic certification system
for bio-derived products
国内のバイオ由来製品の認証制度
バイオプラスチック由来製品には、一般消費者が識別できるよう、日本バイオプラスチック協会(JBPA)が定めるシンボルマークの制度があります。このシンボルマークは、バイオプラスチック識別表示基準を満たすプラスチック製品(中間製品を含む)に使用することができます。ここでは、私たちの身の回りにあるバイオプラスチックのシンボルマーク、用語を紹介させていただきます。
※参考・引用:http://www.jbpaweb.net/identification/
用語集
カーボンニュートラル | バイオマスに含まれる炭素分は、バイオマスがその成長過程において大気中の二酸化炭素を固定したものであり、 バイオマスを再生産する限りにおいては、バイオマスを燃焼しても大気中の二酸化炭素は増加しないという特性。 |
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家庭コンポスト | 家庭での堆肥化設備を指し、工業コンポストに比べて発酵温度が低く、 また処理容量も小さい。 |
工業コンポスト | 堆肥化を行う専用施設を指し、発酵のために高温に維持されることが特徴である。 |
生分解性 | ある一定の条件の下で自然界に豊富に存在する微生物などの働きによって分解し、 最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質。分解環境に応じて、工業コンポスタブル、家庭コンポスタブル、土壌生分解性、海洋生分解性等に細分化される。 |
生分解性プラスチック | プラスチックとしての機能や物性に加えて、ある一定の条件の下で自然界に豊富に存在する微生物などの働きによって分解し、 最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つプラスチック。 |
堆肥化 | 微生物の働きにより、生ごみ等を分解し、肥料を生産する技術。 |
バイオマス | もともと、生態学で生物(bio)の量(mass)を示す用語である。本ロードマップでは、化石燃料を除く、動植物に由来する有機物である資源のことをいう。 |
バイオマスプラスチック | 原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するプラスチック。 |
バイオマスプラスチック配合率 | プラスチック製品における、バイオマスプラスチックを含有する割合。 |
マイクロプラスチック | 5mm以下の微細なプラスチック類 。 |
マスバランスアプローチ | 原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に大してその特性の割当を行う方法。 |
参考・引用:https://www.env.go.jp/recycle/plastic/bio/roadmap.html バイオプラスチック導入ロードマップ(PDF)
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